どうしたら伝わりやすい資料になるのかを、before & afterで考えてみたいと思います。
資料はいつもの、PowerPointです。
簡単とは言えない理由
一般的に資料のデザインとは、元原稿をいただいてそれを見栄えよくすること(文字情報には手を入れない)ですが、それってあんまり効果ないんだよなあと思う今日この頃。さみしいな。
言いたいことや、相手が言われたいことを文字や形にまとめるって、とっても難しいことだからです。
「これを伝えたい」と頭ではちゃんとわかっていて、口に出しての説明はできるのに、それが紙の上に載ったとき、とたんに違う方向へ行ってしまうことが少なくない。というか、普通そうなる。
たとえば、毎日目にしているもの、動物でも植物でも、家具でも雑貨でも乗り物でも何でも、目の前にないと絵に描けないですよね。ああいう感じと似ています。
デザインすることのやるせなさ
あなたが書いたものをデザイナーが清書する、ということは。元絵を見たデザイナーは、これは鳥かな?鳥だな鳥に違いないと思いステキな鳥へとデザイン。でも本当は魚なのだった、ということなんですよ。
絵だったら、実物の写真をもらえばいいんだけど、
ビジネス文書で伝えたいことは、その人の頭の中だけにしかないから、写真にはできないですよ。
ミチヨ商店がデザインをするときは、元原稿をもらいつつ「これはこういうことを言いたいのですか?」と確認してから作り出します。それでも、魚をキリンに描いてしまったりします。
キリンだったのだ本当は、ということもあります。
お互いにすごく難しく、またレベルの高いことをしているのだと思います。
ですから、できあがったものを元原稿と比べると、もはや別物です。
特に、文字情報はとても変わります。ライティングと呼ばれる部分ね。
文字とデザインと分けて考える
↓ サンプルで、元原稿を作ってみました。before & afterしましょう。
本社の移転に伴って、ネットワーク環境も見直そう!という資料のつもり。(ミチヨ商店とおそろいか。)
これ見て、どう思いますかしら。
まず思うのは、社外秘が一番言いたいのかな?ってこと。たぶん、違いますよね。
このままでは、どうしても社外秘に目がいってしまうので、文字だけ抜き出して黒字にします。色のときと同じね。
関連記事:
https://314-store.com/blog/コミュニケーション/プレゼン資料の色の使い方/
いいね。
それで中身を見ていくと、次はこういうことに気がつきます。
ビジネス文書だからビジネス用語を使って何が悪いのと思いますが、あまりにもよく目にする文言ばかりなので、逆に頭に入ってこないです。最適、とか削減、とかコスト、とか向上、とか提案、とか課題、とか導入、とかね。
毎日そういう言葉とつきあっているから、全然目新しくなくて、興味が持てないわけ。
それから、同じ内容が何回か出てくる。
タイトルも含めて、可能な限り言いたいことは1回で済ませたほうが、聞いて(読んで)くれるものなのです。
口頭で何度も繰り返すと、ちょっと嫌がられますよね。さっき聞いたよ、とか。え、どうして何度も言うの?とか。
あれと同じ。
本当に伝えたいことは
beforeの内容ってひとことで言うと、「宿題やってきました」ってだけなのよ。気がつきましたか。それを、わざわざ?難しく書いているだけなんです。なんと!
お互いの貴重な時間が、このような説明でどんどんなくなっていくって、悲しくないですか。宿題をやってきたから会いに来たわけで、そこは省略できると思いませんか。
もちろん、打ち合わせを始めてすぐにテンションあげていったら怪しくなってしまうし、イントロ部分はみんなの気持ちが集中していく時間だとしても。やっぱりbeforeだと、もったいない気がします。
ここではじめに伝えたいのは、今まではこんな問題がありましたよってこと。
相手に、「えっ、大変だったねそれは!」と思って欲しい。
こうしてみました。
まずは、事前に調査し集めた言葉で、具体的に訴えかけます。
「現状の環境に対する見直し」よりも「使われていない!」のほうが、えっ、みんな使ってないの!オレも使ってないけど!ごめん(笑)、みたいになって、相手との距離が縮まっていくかもしれません。
同じように「新組織に最適な環境の構築」よりも「トラブル対応が遅い」。え~、やだよね。それは、となって欲しいから。
あとは、できるだけ同じ言い回しをしない。同じことは別の言葉でも言わないようにします。
そして、相手が「困るね」と思う箇所を、嫌がらせのように?赤字で警告。
嫌~な感じを持ってもらえたら、大成功です。だから予算ちょうだい、って言いたいんだもん。
パワポに操られないようにね!
デザインでいい感じを出したい。それって、すばらしい!尊い気持ちです。私はありがたいです。でも文字だけでも、十分魅力的な資料ができるはずなんです。
ことばエネルギーです。
PowerPointを使い始めると、本来すべきことに時間を割けなくなっていき、最悪それにも気がつかなくなってしまいますから、
気をつけて!
良い文書のタネは、デザイナーではなく、伝えたいと思っているあなたの手の中にあります。
なんちゃって。
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