著書に、絶望なみだ君というキャラクターが登場します。今日は、その話を。

(トップの画像は、裏表紙のボツ案です。最終案とどこが違う?)

 

 

なみだ君ができるまで

私はキャラクター専門のデザイナーではありませんので、なみだ君を形にするのはちょっと大変でした。なんのためのとか、どう表現すべきといった考えることはデザイナーの仕事なので良いのですが、書く技術が追い付かないのです。

ひとことでデザイナーといっても、いろんな人がいるからね。そもそも私の得意分野は情報デザインで、それって形がなかったりする。

ルックスを決めるまでのデータが残っていたので、ちょっと出してみます。笑

 

これが一番古そう。涙を表現したかったんですね。
手足がない!

次のが2号かな? 手足があったほうがポーズも多彩だし表現が増えるので、何かと便利です。涙の色は、水色と思ったのかな。(ひとごと)

お腹のたるみが気に入ってた気がする。

 

次です。「通常」と「変装」という、注意書きがありましたよ。ルックスが決まってないのに、この時点でもう遊びの方に目がいってしまっていますね。カツラをかぶせようとか。金髪とかね。

他にも変装バージョンがありました。手足の色がグレーになってるね。なぜ、森へ行くときのバスケットを持っているのか。まったく思い出せない。

 

次。やっぱ、顔と胴体は別の方がよいと思ったんでしょう。分かれています。これは結構、最終形態に近い。目が大きくなりましたね。顔色は白くなった。人間と区別したかったのと、背景に色があるときに目立つから。と思われる。

次。このあたりから、性格付けが始まっている様子。ツンデレの誕生ですね。笑ったりしない。全身タイツにするか迷って、白い部分が多い方が視認性が良いと判断したんでしょう。微妙に表情も異なっています。中央は少し大人っぽい。目の大きさ形も検討しているみたい。眉毛がなくなりましたね。笑

水色も、黄色を少し入れて濁らせていますね。


次。変装させたくてこれは、アビーロードですね。著作権にひっかかるので、どうせ使えないのをわかっていても、結構真剣に書いてますね。

ジョージの肩の具合にこだわったり、それぞれの足の出し方も違うでしょ。ポールは忘れずに歩きタバコに裸足。このときは、まさかこのように人に見せるとは思ってもいないんですよ。だけど書いてしまう。デザイナーの性ですねー。

 

次。これはイエローサブマリンですね。ニッチな選択。もう誰にも止められない。

 

ヘルプですね。あんた、キャラクターどうすんのかを決めないと。遊んでる場合じゃないよという感じ。暴走中です。左から2番目のパンツが見えている。

 

で微調整して、こうなりました。 
目玉があったほうが表情が付くので、そのあたりを。

並べてみて思いましたが、タッチにはあんまり悩んでませんね。たとえば鉛筆で描いたようなカスレとか。線だけの1色とかね。
表紙では、タッチと肌の色を変更しています。気が付いた方いたかしら。この記事のトップ画像も、なみだ君ですよ。

 

キャラクターを採用した理由

出版社からご依頼を受けてすぐ、キャラクターが必要だろうなと思いました。デザインと言っても専門書。内容が堅苦しくなってしまいがちだからです。

私は、まじめな資料であってもキャラクターを使うことがあります。まじめだからこそかな。堅苦しい内容のものを堅苦しいまま作っていく方が、実際は楽なんですけどね。それだと楽なのは自分だけで、伝わらないから。

文章量を気にせず正しい文章を書くのも、習慣にしてしまえば難しくありません。間違っていないことが目標で、記載があることが大事。「わかりやすい」は別の話。そういうことって、社会には少なくないと思います。でも、辛くない?

大事なことを端的に言わせることができるのも、キャラクターの魅力です。文章は面倒くさくて読む気にならなくても、キャラクターのセリフは見てくれる。文章で正確に事実だけを書くと全体がとても冷たい印象になるので、ちょっとおかしなポーズを取らせる。それで引き止めておく。

文章でまじめに書くと角が立つけど、おかしなキャラクターがつぶやくなら、なんか許してもらえるということもある。それで伝わるなら万々歳!

人は文章を読むのが大嫌い。ビジネスならなおさらです。100パー嫌々のはず。ならば、こちらが無理やり読ませようとしても仕方ない。確かに「読んでくれない、読めば書いてあるのに」と愚痴を言いたくもなる。でも、そんなことしても何も起きない。自分が嫌な気持ちになるだけなんですよね。それに、自分だって読むのは大嫌いだもの!

相手が手に取る、そして読む、読み続けるというアクションをしてくれないことには、何も起きない。伝えられる側の協力が不可欠なのです。だから伝える側としては、「嫌々であれ振り向いてくれたんですね、本当にありがとう、もう少し読んでみて、その先も読んでみて! きっといいことが書いてあるから」そう感じてもらう努力を怠ってはならないと思っています。mi