『伝わるデザイン』を語るには、伝わるデザインとは何かを自分なりに決めておく必要があると思いました。それについてお話しますよ。トップの画像は、仮で作っていた表紙案です。カワイイね。

 

 

デザインとは何か

デザインは、とてもあやふやなものです。答えはないのかもしれません。
しかしながら、どこに向かっているのかを決めておかねば手段を説明することもできないと思って。独断と偏見と経験で、果敢に挑戦。

それをまとめた図が、『まねるだけで伝わるデザイン』の10ページにある、インフォグラフです。
↓コレ

 

左から、

①ごちゃまぜ

②抜き出す

③そろえる

④メリハリ

としました。

この工程をとることで、「伝わらない」から「伝わる」へ変身することができます。
すごい! でも大丈夫? ははは、もう遅い、本は出てしまった。

ですので、腹を据えました次第です。

①ごちゃまぜ=散らかり放題

まずは1つめから。デザインをはじめる前の状態です。

あれもこれも、全部伝えないとならない。だって、相手に必要な情報だから。
良くわかります。でも、本当にそうでしょうか?

これは、ビジネス文書の「あるある」です。ほとんどの文書が、必要な情報をすべてインプットしようと躍起になっているように私には見える。

この状態を私の講座では、掃除に例えてお伝えすることがあります。
欲しいものをどんどんゲットして1つの部屋に詰め込んでるから、足の踏み場もない状態になっているよ、と。

では、その部屋を心地よくするにはどうしたらいいでしょう。
収納の棚を持ってくる。整理整頓する。ルンバで掃除してもらう。そのとおり。うちには、水拭き係のブラーバもいますよ。

でも、その前にしなくてはいけないことがある。何でしょう?
それは、仕分です。不必要なものを捨てる。

いくら収納用品を使ったところで、ものは減っていません。単に整理されただけ。いらないものを、目の届かないところに隠しただけですよ。こんまりさんも激怒するだろう。笑

デザインも同じです。心地よい部屋=伝わるデザインにしたければ、まず、いらないものをポイしないといけません。それが次の工程になります。

②抜き出す=不要なものは捨てる

そうそう。これをしないとね。

必要なものだけ残す、も同じことです。伝えたいものがものすごい情報量の場合は、まずは「これ全部捨てるぞ」と決心し、そこから「でもこれだけは捨てられない」と思うものだけ抽出する感じ。

とても重要なことですので著書でも何回か書こうと思って、256ぺージにも載せました。FAQの章です。この工程②を指摘するデザイナーは、あまりいないかもしれない。ビジネスであれば、そこは会社や上司がするもの、とか。デザイン事務所であれば、そこはクライアントがするところだから手を出せない、とかね。

著書のメインターゲットは、0から100まで自分でデザインする人です。だから、この工程が自分でできるはずなんです。是非やりましょう!

③そろえる=棚に入れる

残したものを床に直置きでは、どこに何があるのかわかりづらい。ですから、収納棚を使いましょう。それがこの工程。きちんとしまう、です。

不要なものはもうないので、棚は小さくていいし、余裕があるはずです。ギチギチに詰め込まないと入らない、なんてことにもさようなら! いいことづくめですね。

棚は便利です。片付いて見える。なもんで、収納力の高い棚が欲しくなるわけですが、そうするとものを捨てません。これでは、すべてが水の泡。逆戻りですよ。なので、棚はシンプルなものがベスト。伝わるデザインの場合は特に、収納力の高い棚は必要ありません。敵です。笑

④メリハリ=置き場所や、しるし

最後のしあげは、工程④メリハリです。③だけで安心してはいけません。目標は高くあるべし。

工程③を終えた棚は、さながら図書室のようなもの。本がどれくらいあるかがわかり、各棚には番号がつけられ、作家名などの見出しがついています。

探している本があるならば、それらを目安にたどり着ける。努力の甲斐がありました!
しかしこれは、一部の資料にしか当てはまりません。それは、リファレンスなど辞書のようなもの。情報にはタイトルがつけられ、あいうえお順に並べられているので、辞書を使うリテラシーがあれば探し出せる。アナログ時計で時間がわかるようにね。

一方、プレゼン資料といった多くのビジネスシーンには当てはまりません。著書で扱っている、ポスター、チラシ、ショップカード、DMなどにも当てはまりません。

なぜなら、それらを見る人は、そもそも何を探しているかわからないから。手にした動機がない。上司が見ろと言ったからとか、たまたま見かけたから、ポストに入っていたから、とかでしょう。世の中の多くのデザインが、これに当てはまります。

そこで必要になるのが、工程④のメリハリです。
この資料には何が書いてあります、だから読んでください、または読まなくても大丈夫ですと情報の目的を明確にしましょう。

ぱっと見て、読まなくてもよい、自分には必要ないと思ってもらうことも重要です。ものすごい量を読まされてから、自分には関係なかったとわかると、読者は激怒しますよ。信頼を失ってしまいます。

ここも大切なので、著書でも数回書きました。笑 254ージとかです。

 

伝わるのビフォー&アフター

12ページに、例を載せました。↓

 

さて工程は4つあるといましたが、一番大事なのは、どこでしょう?
もちろん、工程②ですよ。不要な情報は削除する。ここから「伝わる」が始まります。

乱暴になりますが、一般的にはデザイン=工程③、プロだとそれに④が含まれると感じ。
どちらにせよ、②が抜けてしまってる。

だから伝わらないのではないですか?

 

ちょっと声を大きくしてみましたー。

著書の中では、実際にデザイン制作を体験してもらいます。↓それぞれに、このページが入ります。
相手目線になろうと伝えたくて、「重要」のスタンプを押しときました。説明の量も、他のステップより多いでしょう?

 

では、今日はこのへんで。

おかげさまで本が出版されたので、著書を使ってすぐにでもセミナーを開きたいのですが…。ダイヤモンド社ができたてでピカピカのセミナー室をお持ちなので、そこを拝借できるというお話もあるのですが、コロナきちゃって。

どこを使うにしても対面での開催は当面無理なので、オンラインを企画すべきなのですが、それこそ伝わるかどうか…。迷い中です。すみません。

いずれにせよブログでは、こんな感じで説明していきますね。どうぞよろしくお願いします。mi